2026/04/28 17:40

インドは多民族が集まる国。
その中でも、伝統衣装の際立った存在感と力強い佇まいによって、ひときわ異彩を放つコミュニティが「バンジャラ族」。ヴィンテージを買い付けるなかでも、目にする機会の多い刺繍のひとつです。
一方で、文献や資料で詳しく紹介されることは少なく、その背景はいまだ謎に包まれた存在でもあります。
『TEXTILES OF BANJARA』によると、
彼らは半遊牧民であり、独自性の強い、自己完結的なアイデンティティを保ち続けてきた人々とされています。
数世紀にわたり、道路や鉄道の整備されていない地域を横断し、長距離輸送を担ってきました。
バンジャラのキャラバンは、塩や穀物、香辛料、綿、米などを運ぶ商人として活動し、かつては交易の生命線として中世インド経済に欠かせない存在であったともいわれています。
現在ではインドに鉄道が敷かれたため、政府から与えられた4州に渡って定住を余儀なくされています。
資料に残る写真からは、独特な装飾の煌びやかさが印象的。
ミラーを多用した意匠にも、遊牧の民としての背景が感じられます。

kālahで扱うものは、主に衣装の一部に使われていた断片です。
かつての遊牧の民であったバンジャラ族に思いを馳せながら、日々の暮らしの一部として寄り添えたらと願っています。
参考:Textiles of the Banjara: Cloth and Culture of a Wandering Tribe